瓢ヶ岳の鬼退治
郡上の名峰、瓢ヶ岳。そこには、次のような伝説が残されています。
「昔瓢ヶ岳には鬼が住んでおり、たびたび粥川の里に下りてきて人々を悩ませていた。そこで、帝の命により、藤原高光が鬼退治をすることになったが、鬼は変幻自在に行方をくらまし、見つけ出せないので高光は困り果てていた。
すると目の前に一匹のうなぎが現れ道案内をするかのように前を行くのであとを追うと、ついに高光は鬼を見つけだすことができ、持っていた弓矢で見事退治することができた。
その後、藤原高光は弓を宮(高賀山星宮粥川寺)に納め、矢を滝に納めたので、その滝を「矢納めの滝」、淵を「矢納ヶ淵」というようになった。
藤原高光は、住民に「うなぎは神の使いであるから大切にするように」と命じた。」
とされています。
それ以来、粥川の人々はうなぎを大切に守り続けています。
人々がうなぎを大切にしていたこともあってか、昭和の半ばまでは粥川にはうなぎが大量に生息し、大正13年には「うなぎの群生地」として国の天然記念物にも指定されました。
しかし、過去に病気により大量死したこともあり、現在ではうなぎの姿を見つけるのが難しくなっています。
現在、美並の昔を伝える資料館『美並ふるさと館』には、粥川のほとりでお釜を洗う女性に無数のうなぎが群がっている写真が展示されており、昔の様子を偲ぶことができます。境内の池では、もしかしたらうなぎの姿を見ることができるかもしれません。 美並町粥川地区。ここは今でも昔の気持ちを忘れず残し続けていく、そんな人たちが暮らす素敵な集落です。